PRP(Platelet-Rich Plasma)は多血小板血漿のことで、血小板を濃縮した血漿のことを指します。
PRPは、筋・腱・靭帯の領域では非常によく研究され、その安全性と有効性が確認されている再生医療材料です。血小板は、組織が損傷したときに、損傷した場所に集まって止血をする役割を担いますが、その際に多量の成長因子(PDGF、VEGF、FGFなど)を放出します。この成長因子は、組織修復のプロセスを開始する働きをもっています。

本治療は、患者さま自身の血液から抽出されたPRPを、ご自身の傷ついた組織に注入することで、細胞レベルでの軟部組織の再生・組織の修復を図ることを目的とした治療です。PRPから放出される様々な成長因子や血小板によって、コラーゲンやヒアルロン酸の産生が増加し、周囲組織の修復が促進されます。PRPは血管新生を促進したり、炎症を抑える能力も持つため、傷ついた組織周囲の環境を整え、痛みを緩和したり機能を改善する効果が期待できます。
PRPは、患者様ご自身の血液を採取させていただいた後に、遠心分離・加工して作成されます。わずか10-20分ほどで作成できますので、ご来院いただいた当日の投与が可能です。

当院では、「筋・腱・靭帯 再生注射-PRP-」と「筋・腱・靭帯 再生注射-Super Rich PRP-」の2つのメニューがあります。どちらも肌再生効果が確認されているPRPを使用しますが、Super Richでは約5倍の血小板数となっており、非常に高い効果を期待することができます。下記に他の治療方法との比較をした表を提示します。
※PRPは「筋・腱・靭帯 再生注射-PRP-」、HD-PRPは「筋・腱・靭帯 再生注射-Super Rich PRP-」に相当します。
関節外の軟部組織に対するPRP、HD-PRPと代表的な治療法の比較
PRP関節外注射節外注射
- 作用
抗炎症効果や疼痛緩和効果、組織修復効果が期待されています。
目立った副作用がなく、継続的な治療を行うことが可能です。
長期的な効果の持続が期待できます。
患者様自身の血液を使用するため効果に個人差はあります。 - 作用期間
6〜12か月 - 標準的な治療法
1〜3回
HD-PRP関節外注射
- 作用
基本的な働きはPRP関節外注射と同じですが、より成長因子を高濃度に含んでおり、少ない回数でより長期的な改善効果や有効率の向上が期待されています。PRPには勝りますが、患者様自身の血液を使用するため効果に個人差はあります。 - 作用期間
12〜16か月 - 標準的な治療法
1回
ステロイド関節外注射
- 作用
炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、炎症を抑制し、痛みや腫れの軽減が期待できます。しかし、根本的な改善ではなく、痛みに対する対症療法となります。また、組織の免疫活動が強力に抑制されるので、継続的に使用すると組織が脆くなってしまう可能性があります。 - 作用期間
3〜4か月 - 標準的な治療法
1回(継続的な治療は医師の判断により計画的に行う)
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)
- 作用
NSAIDsは、炎症や痛みを起こす物質の産生を抑え、症状を軽くする薬です。
飲み薬や塗り薬として病院で処方されるほか、市販薬としても手軽に購入できるため、最も一般的な痛み止め・抗炎症薬と言えます。ただし、服用している間しか効果が持続しないため、慢性的な痛みに対しては長期的な使用が必要になることもあります。 - 作用期間
数時間 - 標準的な治療法
継続的な経口投与が必要


考えられる合併症と副作⽤(PRP治療/筋・腱・靭帯)
・採血時:採血に伴う痛み、気分不良、吐き気、めまい、失神、失神に伴う転倒、皮下出血、神経損傷(痛み、しびれ、筋力低下など)
・PRP注入時:感染、アナフィラキシー反応、穿刺部の痛み、内出⾎、神経障害(⼿⾜の痺れなど)など